Natural Environment
選ばれし土地
天鏡蒸溜所のある福島県会津地方の磐梯町は、名峰・会津磐梯山を背に、眼前には猪苗代湖が広がる大自然の中にあります。
平安の初め、名僧・徳一(とくいつ)がこの地に慧日寺(えにちじ)を開基。寺僧三百、僧兵数千人におよぶ大伽藍が山麓に広がり、この一帯は聖域とも呼ばれる場所でした。
戦国大名・伊達政宗の侵攻によって、慧日寺はことごとく消失してしまいましたが、その遺構は、現在も深い緑の中に静かに眠っているのです。
徳一上人以来、千数百年の時を越えてなお、磐梯山麓の森を満たす聖らかな空気と清冽な水・・・。
ウイスキー造りのためにあるようなこの地は、あらかじめ選ばれし土地であったのかもしれません。
父なる山
天にかかる磐の梯子、とも称される会津磐梯山(1816m)は、今も胎動を続ける活火山です。
美しい山容を見せる表磐梯、また、裏に回れば荒々しい火口が広がり、爆発によって生まれた無数の湖沼群が連なる裏磐梯・・・これほど変化に富んだ大自然は稀有であり、
一帯は磐梯朝日国立公園に指定されています。
徹底した自然保護が図られている磐梯山は、会津に住む人々の誇りであり、心のよりどころでもあります。
その父なる山の西山麓に、天鏡蒸溜所は生まれました。
母なる湖
日本で四番目の広さを誇り、有数の透明度から水質日本一にも輝いた猪苗代湖は、命を育む母なる湖です。
標高の高い場所に位置し、巨大な水甕ともたとえられる猪苗代湖の水は、安積疎水を経て郡山地方一帯を潤し、また会津盆地へと灌ぎ豊かな実りをもたらしています。
天を映す鏡のような美しさから、美称を天鏡湖とも称えられる猪苗代湖。
ウイスキー「天鏡」の名は、この母なる湖から賜りました。
名水100選に選ばれた「宝の水」
天鏡蒸溜所のある磐梯山西山麓にある湧水群、中でも龍ヶ沢湧水は日本名水百選にも選ばれた名水です。
磐梯・猫魔山系の活発な火山活動によって生まれた巨石群の間からこんこんと湧く水は、いかなる旱魃でも決して枯れた事がないと言われています。
豊かな自然、寒冷な気候、そして清冽な水、まさに生命の水を育むにふさわしい条件が、ここにはすべて揃っているのです。